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概要

設立に至る経緯

1.  設立に至る経緯

⑴.名称を「くらし」としたことについて

定款には「生活者」とされている。設立時には「消費者」とすべきではないか、との意見もあったが「くらし」とした理由は、消費は生産に対峙する概念であり、環境、社会保障問題等については、ふさわしくないと考えたからである。因みに、英文名称は「Council on Life-Innovation」となっている。

⑵.所管について

通商産業省(現:経済産業省)産業政策局消費経済課としてスタートした。その理由は、生活者と産業との関係という点にある。準備段階では、当時の経済企画庁(現:内閣府)の所管にしてはということもあった。

⑶.定款の策定に関して

上記のように第3条には「〜生活者、企業、行政が相互理解を増進させて〜」とあるが、原案では「相互理解」の前に「相互批判により」とあったが、法令審査課の意見により削除された。原案の趣旨は生活者、企業、行政が相互にcountervailing power を発揮することが社会経済の健全な発展に資するとするものであった。

2. 設立の趣旨(要旨)

35年前に発起された設立趣旨は次のとおりとなっている。これは事業理念に相当するもので、端的に言えば社会における行政、企業、国民生活間の相互関係とそれぞれのあるべき社会的役割を掲げたものとなっている。

生起する暮らしと産業に関する諸課題を解決するに当たっては、政府、地方公共団体において各種の施策が展開されておりますが、それが必ずしも企業や一般国民に充分浸透し、理解されているとは言いがたい状況にあると思われます。また、産業界においては、厳しい競争化の時代にあって、一部の企業は社会的責任を忘れ、営利追求のみに走り、広範な国民ニーズを軽視する傾向もあります。また、一般国民にあっては、日々の生活に追われ、わが国の経済社会の動向を把握することが難しく、更に将来展望を十分見出せないのが現状であります。
こうした現状にあって、各種の課題を実現するに当たっては、行政には、正確な情報をわかりやすく国民に提供するとともに、国民の直接的参加による行政手法を行うこと、企業には、良質な商品、財、サービスを効果的に国民に提供するとともに、社会、地域への貢献が求められています。
また、国民にとっては、正しい情報、知識の修得のもとに行政や産業に対して提言能力を持つことが必要となっております。
このような活動を円滑に、継続的に行っていくには、公平、中立性をもち、公益性のある第三者的機関が必要であると考えます。
[1989(平成元)年6月設立趣意書より]

3. 事業目的・概要

⑴.事業の目的は次のように定められている。

「本会は、現代の科学・技術・情報の著しい発展と内外の社会状況の急速な変化の中にあって、生活者、企業、行政が相互理解を増進させて各自役割を発揮して生起する課題の解決に取組めるよう、公平な立場からくらしと産業に関する諸問題の調査・研究、啓発活動を行い、もって社会経済の円滑な発展に寄与することを目的とする。」       (定款第3条)

敷衍すると、この事業の目的(理念)は生起する社会経済問題について企業、行政、国民・生活者間において情報を交換し学びあうことにより相互理解を深め、健全な社会を構築することにある。健全とはバランス、調和ということである。
調和を求めるためには各自が異なる立場、意見を尊重し、同時に相互に共通点を見出し共生することに努めなければならない。変転する社会の中では新たな諸矛盾が発生する。これらの矛盾に対しては、固定的にならず、偏見を持たず、感情的欲求に走らず、理性・知性による弁証法的(弁論・討論・総括によって論証する)手法に基づいて進展を目指すことが肝要である。

⑵.事業の概要については次のとおり、5本の柱となっている。

①くらしと産業に関するシンポジウム、講演会等の開催
②くらしと産業に関する調査・研究
③くらしと産業に関する情報の収集
④くらしと産業に関する刊行物の発行
⑤その他、本会の目的を達成するために必要な事業  (定款第4条)

4. 団体の特性について

・会員企業の持続的発展を推進し、健全な市場経済社会の構築を目指す。
・事業の推進にあたっては、生活、消費者は生産の原点を正しく理解し、生産者、供給者、行政は生活者、消費者の視点に立った事業、業務を展開することを旨としている。このような特性を持つ社団法人は他に類を見ないのではないだろうか。従って、「産業分類」事業分類に該当しないもので、既存の分類からすると規格外とみられている。
・事業は非営利を原則とする。

5. 事業運営

⑴.役員構成

役員は、顧問、会長、副会長、専務理事、理事により構成される。出身分野は、エネルギー(電力、ガス)、交通(JR、大手私鉄、航空、バス、タクシー)、メーカー(自動車・製紙)、消費者団体、法曹界(会長)、学者、マスコミとなっており、官界出身者が含まれていない。いわゆる「天下り」に該当する人は皆無。これは、他の社団法人には見られない特徴といえよう。この背景としては、くらしのリサーチセンターが官ではなく、民の発意により創立されたことに起因するといえる。
しかし、後に見られるように行政としては各種の講演会講師を派遣し、貴重な資料・情報を提供するなど、事業運営に積極的に協力・参画している。

⑵.会員の構成

会員(法人) 46  会員(個人含む)26

⑶.関係省庁

経済産業省(設立時は通商産業省)、国土交通省、環境省

6. 設立年月日

1989(平成元)年7月10日
2013(平成25)年4月1日一般社団法人へ移行